「沈黙」という武器
カウンセリングを受けた経験のある皆さんならご存じかもしれません。 カウンセラーはよく沈黙します。 これは「積極的傾聴」の場合が多いのですが、皆さんの日常会話の中でたとえば5分間沈黙出来ますか? これ相当に苦痛です(笑)。 友人との会話、家族間の会話、上司と部下、会議・・・。 筆者の実体験ですが、「さて、どうしましたか?」からカウンセリングを始めて50分 黙り込んだクライアントがいます。 もちろん、カウンセラーからは何も言いません。 質問の手がかりも解りません。 もっとも50分のうち45分は泣いてましたが。 こういう場合カウンセラーはただ座っていれば良いだけだから楽だと思いますか? とんでもない!やっぱり苦痛ですよ、かなり。 もちろん目は離せない訳です。 むしろ会話が無い分、「ボディランゲージ」を視ようとします。 個人的な経験則ですが、まずは「眼」。 眼は雄弁です。「泣く」なんて絶好のチャンスなんですけどねぇ。 次は「手」、「足=貧乏ゆすり」、次に「姿勢」ですかねぇ。 こちらもヘトヘトに疲れます。 ただこのクライアントの場合は最後の2分程度、「泣き笑い」になり、「なんだかすっきりしました!」といって帰られました。 セッションはこの1回限りでしたが、濃密な沈黙の応酬だったと思います。 見えない会話がたくさんあったと思います。 不思議なんですが、カウンセラーも途中で泣きたくなってくるんです。 いや、本当に涙があふれ出てくるんです。 これ、なんなんですかねぇ??? シンクロ?「受容・共感・自己一致」? なんか違うなぁ。 なにかが解った訳ではありませんし、見えた訳でもありません。 結局は何も解らないのです。でも涙が出てくる。 きっとクライアントにもわかったでしょう。 プロの端くれとしては恥ずかしい場面です。 でも百万言を費やすよりも、通じたようです。 不思議なカウンセリングでした。 皆さんも5分、いや3分でもいい。 日常会話の中でこの「沈黙」という会話を試してみてください。